鍵盤ハーモニカはどれがいいのか?
よく聞かれる質問なのでまとめておこうと思います。
なぜまとめておこうかと思ったかは、一概に「いっちゃんええヤツ」って即答できないんですよ。
よく家電なんかで話題にあがる「よーわからんから、いっちゃんええヤツちょうだい!」のアレですよ。
楽器なんかも同じで、高いから「いっちゃんええ」ではないし、プロが使っている「いっちゃんええ」が自分にとっての「いっちゃんええ」でもないんですよ。
鍵盤ハーモニカも同じで、使うシーンだったり、その人の演奏方法や癖なんかで「いっちゃんええ」は変わるんです。
というわけで、この記事では私がよく質問される「鍵盤ハーモニカの価格はどれくらいなのか?」「こんなシーンで使うならどれがいいのか?」といった内容を書いておこうと思います。
それと、鍵盤ハーモニカ仲間ちいたろう先生との話で盛り上がった「ピアニカとメロディオンはどう違うのか?」というマニアックかつ偏見に満ちている内容でお届け致します。
1万円以内で子ども達と一緒に演奏したい
幼稚園や保育園での音楽レクリエーションであったり、家族やお友達との発表会に向けて検討している方から多い質問です。
これについても様々なシーンが想定されるので大まかに3つほどあげてみました。
それと、購入を検討している人の想定は、バリバリに鍵盤ハーモニカを弾いている人ではなく、ピアノやエレクトーンなどの鍵盤楽器は弾いた経験がある人です。
【伴奏を弾く】少ない呼気量で重音が楽なメロディオン
伴奏がメインで、子ども達に歌ってもらうのなら鈴木楽器 メロディオンシリーズがおすすめ。
鍵盤のタッチがなめらかで、とくに重音を綺麗に出すならこちら。
私の体感ではありますが、メロディオンのシリーズは呼気量弱めの人でも少ない息で音が出やすいように感じます。
吹奏楽未経験者の方には特に良いのではないでしょうか。
卓奏用のホースタイプの唄口と立奏用の短い唄口がセット。
ただ、短い唄口は丸いタイプなのでちょっと吹きにくいです。
卓上で引く場合、ホースタイプの唄口は胸下あたりの机で弾くにはちょうど良い長さですが、椅子に座って膝の上で弾く場合には少し短いです。
その際は、22cmほど延長できるジョイントパーツもあります。
【メロディを弾く】吹奏楽経験者におすすめピアニカ
メロディがメインでピアノなどに伴奏をしてもらうならヤマハの37鍵ピアニカ、通称マルーンがおすすめ。
パーンとハリのある音が出せます。
これも私の体感ですが、ピアニカはしっかりとした呼気量で強目に吹ける人に向いている気がします。
肺活量に自身があり、息のコントロールが得意な吹奏楽経験者の方におすすめ。
しっかりフォルテで吹いても安定して鳴ってくれるので、お子さん用の「ちょっといいヤツ」としてもおすすめです。
こちらも唄口は卓奏用ホースと立奏用付き。
ヤマハの立奏用は唇に沿うような形になってるので、個人的には使いやすいと思います。
鍵盤のタッチはメロディオンに比べると若干固めなのが特徴。
打鍵音・離鍵音が気になる場合もあります。
その代わり、ピッチベンドなどメロディで表現を行う際にはやりやすいメリットもあります。
ピアニカP37Dの参考演奏は、ちいたろう先生の動画をご覧ください。
【子どもと一緒に弾く】カラフルなデザインで楽しく演奏
子ども達との合奏をする場合、演奏のお手本を見せるなどの場合は、鍵盤数を同じくらいに揃えるのがおすすめ。
カラフルなデザインで子ども達に「これ弾きたい!」と注目してもらえるキョーリツ メロディピアノは32鍵なので子どもでも弾きやすい大きさです。
さらにお値段が手頃なのが特徴!
軽くて迫力のある音が出るので、歩きながら演奏するシーンでも使えます。
長時間立奏する場合はストラップを付けると楽です。
ただ、唄口は少し大きめなので、早いタンギングなどを使う曲は少し疲れるかも。
私は唄口を改造して、鈴木楽器のホースが刺せるようにしました。
マウスピースについては使いやすいものも別であるので、一応参考までに。
本格的にソロ弾きや立奏両手弾きがしたい
これもよく聞かれます。
いわゆる子どもの時に使っていた鍵盤ハーモニカじゃなくて、プロモデルの鍵盤ハーモニカが欲しい方。
こちらも個人的な感覚ではありますが、比較して紹介したいと思います。
37鍵ヤマハ大人のピアニカ(P-37E2)3種は何が違うのか
ヤマハのハイモデル鍵盤ハーモニカといえば大人のピアニカ(P-37E2)ですが、ハイモデルといえど1万円台で購入できる良心価格設定。
現在はブラウン・ブラック・レッドの3色展開ですが、実はレッドのみ仕様が少し違います。
公式の商品説明にも違いがあり「茶色・黒色は柔らかくまろやかな音」レッドは「黒と茶色のピアニカと比べるとよりクリアな音色」と書かれています。
なんとなく抽象的に書かれていますが、弾きくらべた体感をストレートに表現すると「茶色・黒色よりもレッドは音が大きい音が出せる」が近いと思います。
だからといって必ずしも大きい音が出るわけではありません。
仕様の違いとすれば、茶色・黒色は全音域に響きを整える吸音材が取り付けられているのに比べ、レッドは光音部分のみに吸音材が取り付けられています。

フリーリード特有のなんとなくもさりげなくキーンとなるような高音の金属音を抑える工夫を施して「柔らかくまろやかな音」という表現になっているのかと思います。
一方で、私はブラウン・ブラックをヤマハの体験会で試奏した際に「音が弱いな」と感じて購入に至りませんでした。
その後にレッドを購入したのですが、きっかけは先に購入していたちいたろう先生が「赤は正直ウルサイ」と言っていたので「よし、買おう」と決断しました。
なぜなら彼は、普段の演奏方法が10本の指全てでコードを押さえる勢いに加えて、タンギングでリズムをとって延々と弾き続ける人なので、私には「ウルサイ」の意味がなんとなく理解できたからです。
この詳しい話については、また後のセクションでお話ししようと思います。
この違いだけでも、ブラウン・ブラックを選ぶ人、レッドを選ぶ人に違いがあるのがわかると思います。
また、やりたい音楽によっても違いが出るのではないかなと思っています。
大人のピアニカ(P-37E2)レッドについては、過去記事でも触れているのでぜひ参考にしてみてください。
鈴木楽器メロディオンのプロモデルは結局どれがいいのか
お高い鍵盤ハーモニカの豊富さといえばメロディオン。
37鍵だけではなく、44鍵のエレアコタイプや、低音域に特化したバスメロディオン、高音域に特化したソプラノメロディオン、なんと15万円超えの木製鍵盤ハーモニカまでと、2.5万円以上の高級ケンハモが用途別にラインナップされている、大人には沼すぎる界隈がこちらです。
木製ケンハモは「いっちゃんええヤツ」なのか
じゃぁ「いっちゃんええヤツ」は1番高価な木製ケンハモW-37Cなのかと言われると、それもなんとなく違う気がします。
公式の商品説明では「他の楽器と調和する柔らかな音色を目指しました」と書いてあるんですが、生音を体感した身からすると全く逆の感覚で、「すごく研ぎ澄まされた鋭いリード音」という印象があります。
わかりやすい説明でいうと「これが鍵盤ハーモニカでっせ!」って言ってるようにグイグイ主張してくる音というか。
表現としては真逆なんですが、めちゃくちゃ良い音するんですよ。
私は寧ろ、メーカー説明文には靡かなかったけど、生音聞いてちょっと欲しくなったタイプなので。
じゃあなぜ購入していないのかというと、まず高額なのもありますが、私には使うシーンがあまりなさそうという点。
まず重い。
44鍵のPRO-44Hが1000gなのに対して、37鍵のW-37Cは1100gあります。
そして鍵盤1つ1つも重厚感があって大きい。
44鍵の少し小さめで軽い鍵盤で慣れているせいか、W-37Cの太いタイプが苦手という点。
元々にエレクトーンをやっていた私はピアノの鍵盤も少し苦手です。
逆を言えば、PRO-44Hのように狭くて小さい鍵盤が難しい方には相性が良いのかもしれません。
特にソロ弾きで鍵盤のタッチをコントロールしたい方は、両者で演奏に違いが出てくると思います。
44鍵ハモンドプロはどっちを選べばいいのか
音域が広くピックアップ内蔵のエレアコ鍵盤ハーモニカ、ハモンドPRO-44Hにも主に2種類が定番商品として展開されています。
主な違いは背面カバー。
PRO-44Hがアルミカバーなのに対し、PRO-44HPはスチール+クロム鍍金カバーにパンチング(穴あけ)加工されています。


これもよく勘違いされがちでして、「肺活量に自信がないのでPRO-44HPにしたけど、どうもライブで音が目立たない」と相談されたことがあります。
メーカーの説明文に「精細な音色が特長のPRO-44Hとは対極に、PRO-44HPは力強さと哀愁を有するサウンドキャラクター」と書かれているので、「PRO-44HPは大きな音が出るんだ!」と思って購入される方がいらっしゃるみたいなんですが、呼気量強めで吹けば大きな音は出ますが、元々の音量をカバーしてくれるわけではありません。
小さな音で吹こうと思えば小さく鳴ります。
特に44鍵は他の機体に比べて長く大きいこともあり、他よりもブレスコントロールを極端にしないとなかなか変化がつきにくい印象があります。
空気圧が必要なピッチベンドも、どの機種よりも難しいと感じています。
そのため呼気量が少なめだと、音も小さく和音が全て綺麗に鳴らないなどの現象も出てきます。
ピックアップも高音側のみに付いており、いくら生音が通るフリーリードの音といえど、プリアンプなしではバンドと一緒に演奏するのはなかなかに苦労します。
プリアンプについては過去記事で紹介しています。
じゃあPRO-44HPの「力強さと哀愁」ってなんなんだ?って話なんですけど、フルパワーで演奏できるかによって変わってくる音色だと思ってください。
大人のピアニカでも吸音材が全域なのか一部なのかで音の出方は変わりますが、それを「ウルサイ」と思うか「よく通る音」と思えるかは呼気量もそうですが演奏方法によっても感じ方は変わってきます。
テーパーリード装備のPRO-37なら音の引き算が勝負

37鍵で中は先が細くなっている形のテーパーリードが装備され、お値段は2.5万円超えの高級鍵盤ハーモニカ、PRO-37アルトメロディオン。
楽器の詳しい仕様については過去記事で紹介しているのですが、手持ちの中では鍵盤のタッチも音の出方も演奏しやすいなと感じている楽器です。
最初に手にした時に、ウルサイと言われていた赤い大人のピアニカP-37ERDよりも大きな音が鳴っていると感じていたのですが、これも今だと少し感じるニュアンスが違っていて、少ない呼気量でもしっかりと音がでる感覚があります。
すごく些細な息掛けでも音が出るので、歌で表現をよくされる方はアーティキュレーションしやすい機体なんじゃないかなと個人的には思っています。
鈴木メロディオンのプロモデルは和音を鳴らすと倍音が聞こえます。
例えば、一番低音の「ファ」の音を押さえながらオクターブ上の「ファ」と「ラ」の音を同時に鳴らすと、倍音で「ド」の音が聞こえます。
これは少ない音数でも音の広がりが豊かになる効果もありますが、逆に言えば倍音が邪魔をする場合もあります。
とくにピアノなどで音数の多いコード弾きが染み付いている方の場合には、そのまま演奏してしまうと変に雑味が出ることも。
演奏のコツとしては和音をの音数をなるべく減らしてメロディラインを強調するようなアレンジにするのがおすすめです。
同じくプロモデルのPro-44Hで演奏した「人生のメリーゴーランド」は、聞いてもらうとわかると思うんですが序盤の低音は短音や2音だけの構成にしています。
海外の鍵盤ハーモニカ HOHNERメロディカはどうなのか

鍵盤ハーモニカの話になると、ついついヤマハと鈴木の比較になってしまうんですが、じゃあドイツのホーナー社メロディカはどうなのかって話です。
現在、真っ黒な37鍵Superforce37と、真っ白な32鍵Supremeコラボを所持しています。
くわしい解説は過去記事で紹介しています。


すでに過去記事をご覧になった方ならおわかりだと思いますが、仕様としてはかなりシンプルで、なにより軽い。
他のメーカーの37鍵と比べると、鈴木Pro-37v3が約1000g、ヤマハ大人のピアニカP-37E2が約830g、そしてメロディカSuperforce37は約680gとだいぶ軽量です。
ライブやイベントの持ち運びにも良いですし、首から吊るして演奏したい方にも負担になりにくいですよね。
さらに重さの負担を軽減するように両肩用ストラップも作ってみたわけです。
が、しかし、あまり立奏両手弾きで演奏する機会がないのが本当のところです。
まず、鍵盤タッチは日本メーカーと比べてかなり独特。
押し込みの深さもあるし抵抗力もわりと強目に感じるので、鍵盤がゆっくり沈んでいく感覚があります。
そしてリードのレスポンスもなんというか重め。
そのわりにはコードなどの重音を弾くと軽い鳴り方に変わるのが少し面白いところです。
短音でおもいっきりアーティキュレーションをつけて弾くと、その重さが良い味になって楽しいのでアンサンブルやバンド演奏なんかには向いているんじゃないかなと思います。
軽いので左手で機体を持って片手弾きするのも楽ですし、特にレゲエ系にはこのネバリ感がマッチすると思います。
【余談】ピアニカとメロディオンはどう違うのか?
個人的な感覚として、私の中では「コード弾きはメロディオン、メロディ弾きはピアニカ」という印象だったんですが、ちいたろう先生は全く逆の意見でした。

単音で吹くのなら、間違いなくメロディオンを推します。
お金に余裕があるのなら、テーパーリードを装備したプロモデルです。
ヤマハは、和音に強い印象です。
息に対するレスポンスとか、倍音の処理とか。
なぜこのような考え方の違いが生まれたかというと、そもそもに私とちいたろう先生では演奏方法が全く違う点が理由としてあります。
私は鍵盤ハーモニカの両手弾きでは、なるべく音数控えめにアレンジするタイプ。
バンド演奏やアンサンブルでは、なるべく和音ベタ弾きにならないように、合いの手を入れるような感覚で別のメロディラインを鳴らすアレンジが好きです。
そのメロディも、前後フェードの「いつの間にか鳴ってた感」が好きだったり、1音のロングトーンだけで印象を変えたいとか、とにかく省エネタイプの弾き方です。
一方で、ちいたろう先生の場合は両手で指の数だけ音を鳴らして一人でもアンサンブルサウンドを奏でるタイプ。
子ども達から「あれ弾いて!」とリクエストに応える事も多く、じっくり考えてアレンジよりも、とりあえずコードを鳴らしてタンギングでリズムをとって歯切れ良い演奏で、子ども達がぴょんぴょん飛び跳ねたくなるような演奏をしているのが印象的です。
そして短音メロディーを弾く際には、空気圧で音のピッチを変えるベンド奏法で抑揚をつけたり、ビブラートのかけかたも口や下の調整ではなく、お腹から出てくる息がポイントになるパワータイプの演奏をされています。
このフレンド・ライク・ミーの演奏も、ちいたろう先生が用意されたのはピアノ譜で、わりと音数の多いままメロディも重音で演奏しています。
この時のライブの様子はちいたろう先生のブログにしっかりと記録されているのでご興味がありましたらぜひ。
鍵盤ハーモニカの構造からわかる重音を鳴らすコツ
鍵盤ハーモニカの構造は、鍵盤を押さえるとその部分のバルブが開いて空気が通り、そこに設置してあるリードが空気で振動して音がなる仕組みです。
鍵盤の下には1つずつリードが設置されています。

重音になれば開くバルブの数が増えるので、送り込む息もその分増やさないと空気が足りなくなってしまいます。
しかも、鍵盤ハーモニカの空気の入り口は低音側1つしかありません。
となると、高音の位置まで空気が届かなくなって高音が聞こえない、またはバルブの開くタイミングによって送り込まれる空気の優先順位が変わってくるので音のバランスが崩れる現象が生まれます。
この仕組みから分かるように、重音をしっかり鳴らすには全てのリードに空気を届ける呼気量が必要です。
また、呼気量と同時に鍵盤の押し込み(バルブの開閉)と息を吹き込むタイミングや、リードを振動せる息の送り方など、様々な条件が重なってバランスの良い音の鳴り方が生まれてきます。
簡単にまとめると、たくさんの音を同時に鳴らすには息をたくさん送り込まなければならないということです。
なぜピアニカとメロディオンで意見が別れたのか
省エネタイプの私は、重音を鳴らすためには普段よりもしっかり吹き込まなくてはいけないので、繊細な息にも対応してくれるメロディオンが使いやすく、ピアニカでの幅広い重音はバランスが取りにくいと感じた。
その代わり、短音メロディでアーティキュレーションをつけるには吹き込みに強いピアニカが表現しやすい。
一方で、パワータイプのちいたろう先生は普段から鳴らしている同時音数が多いため、倍音が出てしまうメロディオンでは雑味を感じ、ピアニカではたくさんの音を強く吹き込んでも安定していると感じた。
それとは逆に、繊細にメロディを奏でる際にはメロディオンの音色が美しいと感じる。
同じ楽器でも演奏者によって全く捉え方が違う面白い結果になりました。
お互いの言ってる事も「そうそう!そうなんですよ!」って共感しているのに、それぞれのシーン別推し楽器は違うという、なんとも面白い会話だったので書き留めておきました。
なので、
結局は自分で実際に演奏してみなきゃ何がいいかわからない
というのが結論なのではないかなと思います。





















