鍵盤ハーモニカのお話ではないのですが、リモート演奏動画をいくつか制作したので、ここに書き留めておこうと思います。
きっかけは星野源さんの「うちで踊ろう」
新型コロナウイルスの影響により、様々なイベントが中止となり、各々の演奏者が自宅からセッションを行うリモート演奏が流行しました。
私が最初にリモート演奏動画を公開したのが、星野源さんの「うちで踊ろう」に鍵盤ハーモニカの演奏を重ねた物。
この動画を公開したところ、普段一緒に演奏を楽しんでいた方々が、ウクレレやコーラス、手話、イラストなどをご自宅から制作して動画に重ねてくださいました。
最初は私の動画に合わせて1人ずつリモートで参加してくださったんですが、どうせなら全部合わせて動画編集してみようと思い立ちました。
無料の動画編集ソフトiMovieの問題点
そこで問題になったのが、動画編集ソフト。
先ほど紹介した動画は、Macに既存で搭載されているiMovieで編集したもの。
iMovieは2つの動画を重ねることはできるのですが、3つ以上の動画を同時に並べて表示ができません。
以前、多重録音の際に裏技的なやりかたで4画面にしたことはあるのですが、それはまたどこかで気が向いたら書きます。
Final Cut Pro X 無料トライアルを試してみた
そんな時、Appleが動画編集ソフト Final Cut Pro X を期間限定で90日間無料トライアルを実施している事を知り、この機会だからと早速フリートライアル版をダウンロードしてみました。
基本的な使い方はiMovieと似ています。
Final Cut Pro X の詳しい使い方については、フリートライアルで触った程度なので、ここでは紹介できませんが、下記の動画チャンネルを色々と参考致しました。
そしてなんとか出来上がった動画。
イラストの動画は、参加してくださったイラストレーターさんが Adobe Frescoで作成されたタイムラプスムービーをそのまま読み込んでいます。
さらに調子付いて、もっと大人数でやってみたい!という欲望に駆られ、総勢12名の参加者様のご協力により私の中では大掛かりなリモート演奏動画を作成に取り掛かりました。
この辺りから、動画編集にあたり問題がいくつか出てきました。
録音・録画環境が異なる
リモート演奏の場合、同じスタジオなどでレコーディングをするのとは違い、各自の場所から各自手持ちのツールを使って演奏を録音録画します。
これについて当初は百も承知で、後で音量調整すればなんとかなるだろうという気持ちでいました。
しかし、実際には単純に楽器の音が小さいという問題ではなく、背景ノイズによる問題が大きかったです。
いわゆる楽器の音以外の雑音です。
音が小さいならボリュームを上げれば、と考えると、一緒に背景ノイズも大きくなります。
大人数で行うリモート演奏は、当初はリレー動画のように1人ずつ演奏したものを繋げようと思っていたのですが、これをすると音楽が急に変わってしまう感じがあったので、1人の方のウクレレ伴奏をベースにして重ねていく方法にしました。
それでもまだ調整しきれていないな、という感じはあるんですが、この時はこれで公開。
「背景ノイズを軽減」という機能もあるのですが、これでなんとかなる動画と、楽器の音が大きく変わる動画と様々ありました。
とくにウクレレの音は元から出力も弱く、背景ノイズを軽減しようとすると、あのはじくような音がなくなり、鈍くてぼやけたような音に変わってしまいます。
その後、この問題については音源のみをGarageBandのイコライザで調整して、別のリモート動画を編集してみました。
鍵盤ハーモニカはエレアコなのでライン録りしていますが、ウクレレ動画はよくある「シーーーー」という背景ノイズがのっている状態でした。
一旦プリセットのアコースティックギターに設定し、高音域の音量を調整しながら背景ノイズの軽減をしました。
ファイル容量が重い
集作業をしている途中に、Macストレージの容量が少なくなっているという警告が出ました。
気がついたら80GBという驚きのファイル容量になっており、参加者さんの動画もローカルへ移して作業していたので、あっというまに容量を圧迫していました。
これは動画を重ねる私の作業方法も要領が悪く余計に重くしてしまったんだと思います。
ストレージについては外付けハードディスクを併用するなどして回避するとしても、1つの動画に多数の動画を読み込ませて重ねようとすると、作業中の動作も非常に遅くなります。
この辺りは、ある程度まとめられる物は1つの動画にしてから読み込ませるなど色々方法はあるのでしょうが、何度も書きますがフリートライアルで触った程度なので、今後勉強していきます。
予想外の展開になる
これは良くも悪くもです。
先に書いた環境が異なるにも通ずるんですが、環境というのはシステム的な物以外にも、演奏者の感覚だったり、録音する場所だったり、そういったアナログ的な要素も異なる上に、実際会って一緒に音を合わせるわけではありませんから、各々出来上がった物はベクトルが少しずつ違ってきたりします。
音楽的な要素以外にも、動画ですから映るものが思わぬ事を招く場合があります。
特に自宅からの撮影は情報漏洩につながらないよう注意すべきですが、誰もが同じ水準のネットリテラシーであるかというと一概にそうではありません。
それは個人個人の自己責任では?とも思いますが、まとめて動画を制作するにあたってはそうも言ってられないだろうなというのが個人的な感想です。
じゃあ、やっぱり実際に会ってセッションする方がいいじゃないか、というのもちょっと違うんです。
この予想外の展開は、各々が作成してきた動画でないと起こらない楽しさもあります。
普段の緊張感とは違う、ちょっとしたリラックスの感情とか、家の光や部屋のインテリアなどその人を表現する背景や、家族の思わぬハプニングなど、ステージで演奏するのとはまた別の楽しみがリモート演奏にはありました。
それぞれが別の場所から1人で楽しみ、他人と重なった時にどうなるか頭の中であれこれと考えながら楽しみ、出来上がった作品を楽しむ。
たくさんの楽しみがリモート演奏にはあると思います。