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鍵盤ハーモニカ マウスピース談議 少ない肺活量で大きな音を鳴らしたい

鍵盤ハーモニカ マウスピース談議 Note
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6月19日に行われた「Dr.Melodica 来日ワークショップ&ジャムセッション 広島」の1コマ、「鍵盤ハーモニカ マウスピース談議」の動画をYouTubeにUPしました。

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ワークショップ振り返り記事でも少し触れているのですが、純正のマウスピース先端に溜まる水分によってポコポコと音が鳴る問題と、立奏片手引きの際のショートマウスピースの扱いにくさについて話し合いました。

唄口の形状による空気の流れ

私が動画の中で問題定義していたのは、純正の唄口には角があり、息の滞留が起こって水分が発生しポコポコとBubble Soundが鳴るのをどう回避するのか。

この質問を受けてドクターは、滞留によって起こる水分よりも、息の勢い(空気の流れ)が弱くなることによって、より強く息を吹き込まなくてはならない状況になり無駄な唾液が出てしまう事が問題と答えています。

同じ力で吹いても、出力される空気の勢いがマウスピースの形状により変わってしまうんですね。

解決策としては、前回の記事でも紹介しましたがとにかく「Gotta Getta Akeo's Mouthpiece!(アケオのマウスピースを手に入れろ)南川朱生みなみかわあけおさんが開発された鍵盤ハーモニカ専用ホースアタッチメント唄口パーツを使うことをドクターは推奨しています。

顎や口の小さい方向け。大変軽く、顎や口、歯への負担を軽減します。弱い力で噛んでいても口から溢れづらいシェイプです。ロスのない息通りで効率的に吹奏できます。S社製の黒いホースの規格に合わせてあります。
顎や口の小さい方向け。大変軽く、顎や口、歯への負担を軽減します。弱い力で噛んでいても口から溢れづらいシェイプです。ロスのない息通りで効率的に吹奏できます。Y社製の白いホース(根本にパーツなし)の規格に合わせてあります。

メーカーによって違う鍵盤ハーモニカ唄口の形

鈴木楽器だけではなく、他のメーカーの純正マウスピースも四角い形の先端が多いのですが、1960年代に製造されていたトンボ楽器ピアノホーン用のマウスピースはゆるやかな三角形です。

鍵盤ハーモニカ純正マウスピース

吹き口先端を見てみると、トンボ楽器は大きく広く口が開いています。

比べてHohner社のマウスピースは、ぱっと見た感じでも吹き口の穴が狭いのですが、中を覗くと空気が通る穴はさらに小さくなり、マウスピースの中に壁がある状態です。
そして横からみるとホイッスルに似た形になっています。

口に咥えて音を鳴らすので、ホイッスルの形が採用されたのかもしれませんが、ホイッスルは吹き込まれた空気を回転させて音が鳴る仕組みなので、ストレートに空気を送り込んでリードを鳴らしたい鍵盤ハーモニカには不向きなように感じます。

純正マウスピースとカスタムマウスピースの吹き比べ

Dr.Melodicaワークショップでは、マウスピース談議中にカーテンを使ってマウスピースの吹き比べを行うシーンがありましたが、もっとわかりやすいバラ緩衝材を使った動画がドクターから送られてきました。

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青いカスタムマウスピースは、ドクター自身が3Dプリンターで作成した物ですが、先にご紹介した南川朱生さんのアタッチメント唄口パーツによく似ている形状にしているそうです。

鍵盤ハーモニカの音量は肺活量の問題なのか

マウスピースの形状によって、息の流れが制限されることにより、よりたくさんの力が必要になります。

ワークショップの中で「鍵盤ハーモニカでピッチベンドをやってみよう」というレッスンがありましたが、ベンドダウンがうまくできない方の特徴として、送り込む息の勢いが足りない点が気になりました。

また、個人的に相談のあったHAMMOND PRO-44でプリアンプをかますと高音ノイズがのってしまう問題も、いろいろとお話を聞いていくと、鍵盤ハーモニカ本体で鳴らしている生音が小さくて、レベルをMAXまであげないとバンドで演奏する場合なかなか聞こえないという事がわかりました。

HAMMOND PRO-44に搭載されているピックアップは、ギターなどによく使うピエゾやマグネットの振動を拾うタイプとは違い、小型ダイナミックマイクが下部に内蔵されているタイプです。
音そのものを拾うので生音でもそれなりに音量が必要となります。

ピックアップ内蔵のエレアコ鍵盤ハーモニカ、PRO-44Hがパワーアップして登場!よりクリアなサウンドを実現し、バンド演奏でも存在感を発揮します。繊細な表現にも適した1台です。

PRO-44HよりもPRO-44HPは力強いサウンドと紹介されていますが、微かな息で演奏すれば小さな音の表現もできます。
極めて大きな音が出るマイクを内蔵しているモデルではありません。

ピックアップ内蔵のエレアコ鍵盤ハーモニカ、PRO-44HPがパワーアップして登場!44HPはその独特なパンチングメタルカラーのごとく力強さと哀愁を有するサウンドを持っています。よりクリアなサウンドを実現し、バンド演奏でも存在感を発揮します。力強い表現に適した1台です。

鍵盤ハーモニカの音量の個人差に関しては他にも思うところがあり、ヤマハの大人のピアニカ P-37ERDが発売された際、両手で指の数だけ音を鳴らして一人でもアンサンブルサウンドを奏でるちいたろう先生は「赤は正直ウルサイ」と言われていましたが、一方で繊細なメロディラインを演奏するのが得意なピアニカ子に関してはP-37ERDをいつも愛用し、特に爆音が轟くイメージはありません。

ちいたろう先生の両手演奏 / 使用機種ピアニカP-37D
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YAMAHA製の鍵盤ハーモニカ、37鍵ピアニカです。音のレスポンスがよく、少ない呼気量で演奏可能。フル3オクターブと音域が広く、器楽合奏をはじめとしたさまざまなシーンで活躍します。ハードケース、吹口、卓奏用パイプ付き。
ピアニカ子の演奏 / 使用機種ピアニカP-37ERD
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先行発売されていた茶色と黒のピアニカに、このたび赤色のモデルが加わりました。ビビッドなボディカラーにふさわしく、黒と茶色のピアニカと比べると音色も明瞭で、ライブパフォーマンス時でも遠くまで音がよく通ります。ステージ上でもパッと明るく映えること間違いありません。

ちいたろう先生はブレスコントロールでベンドノートがかかる演奏をされますが、ピアニカ子はベンドが苦手ということで今回のワークショップでもコツを掴もうと試行錯誤していました。
このふたりの演奏の違いからも、送り込む空気の量や勢いによって楽器の鳴り方が違っているのがわかります。

この考察から重要なのは「肺活量」と思いがちなんですが、私が実際に鍵盤ハーモニカを演奏していて感じているのは「強い息」よりも「早い息」が大きな音を出すコツだと思っています。
この記事で何度も書いている「勢いのある息」です。
この感覚はなかなか文章で人に伝わりにくく、私の感じている「早い息」というのも科学的に分析すると違う言い方になるのかもしれませんが。
例えば、頬に空気をたくさん溜めて、プッと一気に吐き出すのと、口をパッっと一気に大きく開くのでは、同じ空気の量でも勢いが全く違います。
この方法で鍵盤ハーモニカの音を大きく鳴らす事が出来るのはどちらでしょうか?
この勢いのコントロールがうまくできるようになると、より一層自分のイメージしている表現がしやすいのではないかと考えています。
そして、その空気の勢いをストレートに届けてくれるマウスピースも重要な鍵だと思っています。