Recording

多重録音に関する気づきと鍵盤ハーモニカで他の楽器の音への表現

多重録音

2020年は新型コロナウイルスの影響により、リモートセッションが流行し、私もいくつか参加したので前回の記事で紹介しました。

リモート演奏動画を制作して気付いた問題点と課題

これと合わせて、1人で複数パートを重ねる多重録音にもチャレンジしてみました。

リモートセッションの延長になるのですが、クッキーハウスが制作された楽譜集「奇跡の器楽アンサンブルになるシリーズ」の企画で、「ツネおにいさんとデュエット」に参加してみました。

「奇跡の器楽アンサンブルになるシリーズ【童謡・唱歌】」詳細

この楽譜集は3冊出版されていて、同じ曲で「オカリナデュオ編」「リコーダーデュオ編」「鍵盤ハーモニカデュオ編」というシリーズになっています。
1冊でデュオアンサンブルを楽しんだり、他の楽器と一緒にアンサンブルしたり、2パート×3楽器の6パートでアンサンブルしたりと、色々な楽しみ方が出来るシリーズです。

この楽譜集の中から、ツネおにいさん(小西恒夫さん)のオカリナデュオの演奏に鍵盤ハーモニカデュオを多重録音し、朧月夜をリモート共演させていただきました。

ピアノの伴奏はトオルおにいさん(杉本徹さん)です。

4パートが重なるので、私が演奏した鍵盤ハーモニカのパートはオカリナパートと重なっている部分はいくつか省略したり変更したりとアレンジしています。
実際に同じ空間でアンサンブルする場合と、多重録音でアンサンブルする場合、私はあまり同じ音が重ならないように注意しながらアレンジしています。
というのも、複数の楽器が同じ空間のひとつと空気を震わすのと、各々の空間の空気が震えたものを重ねていくのは音が違うと思っていまして、語群が少ないのでうまく説明できませんが。
例えば、自分が演奏した音と全く同じ音を重ねた時に、気持ちの良いユニゾンになるかといえばそうではないのです。
これを効果的に使う場合もありますが、同じ空間でピッチもタイミングもバッチリ合った2人でユニゾン演奏するのとは全く違う響きになるので、もし機会があれば試してみてください。

続いて、全て1人で多重録音演奏したのが、ユニコーンの大迷惑という曲です。

奥田民生さんが作曲しユニコーンがバンドで演奏しているところに、笹路正徳さんのオーケストラアレンジが重なる、なんともはちゃめちゃな曲です。

この曲をやろうと思ったキッカケは、「あなたの持っている鍵盤ハーモニカはストリングスの音も出るの?」という質問でした。
正直、最初に聞かれた時は何でそんな疑問が生まれたのだろうと不思議でした。
私からしたら「そのギターはサックスの音が出せるの?」と言われた感覚に近いからです。 しかし、私の鍵盤ハーモニカ演奏スタイルは、ストラップで体に吊るしてスピーカーから音を出しているので、見た目はショルダーキーボードの演奏に近いのです。
そこから生まれた本当に真面目で素朴な疑問だったんだと思います。

ハモンドとスズキメロディオンとのコラボレーションにより誕生したピックアップマイクを内蔵したエレアコ鍵盤ハーモニカ。

ストリングスというのは楽器ではなく、名前の通り弦楽器をメインにした音なんですが、私は昔からストリングスの音はエレクトーンで一番最初に鳴る音、という印象が強くて、なんとなくこの疑問もわからなくもないのです。
鍵盤ハーモニカは吹奏で音を出すのが主体なので、そもそもに演奏形態が異なるのですが、この状態でストリングスの音に近い音作りって出来るのかな?という事で、エフェクターを使いながら試行錯誤してみました。
動画には使用した楽器と効果を一緒に記載しました。

大迷惑を選曲したのは、単純に好きな曲ということもあるのですが、定番のクラシックなどより元からめちゃくちゃな曲の方が誤魔化しがきくだろうという逃げもあります。

この曲ではパート数も多いので、なるべく同じ楽器の同じ音が重ならないよう、エフェクターで音を変えながら作っています。
ストリングスの音も効果の違う4つの楽器でユニゾン演奏して表現してみました。

実際やってみてどうだったかというと、やっぱり鍵盤ハーモニカは鍵盤ハーモニカ、という印象でした。
自分の技術不足、知識不足もあると思うんですが、音を編集している時に擬態しようと思う楽器の音に近づければ近づけるほど、ちょっと鍵盤ハーモニカっぽい音が残った方が音楽的にはいいんじゃないかな?と思い、何度もやり直して聴いてやり直して聴いてを続けていました。

他の曲もやってみたいのですが、それなりに覚悟と時間が必要なのでまた機会があれば......

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